かつてアメリカでは、肥満は自己管理能力の欠如を表すものとして嫌悪されました。
肥満を理由に職場を解雇されたケースもあったと聞きます。
しかしヒューマンゲノム計画が終了した今、肥満は自己責任だけでは片付けられない問題であることが立証されたのです。
体重は生まれた時から決まっている。
では人間の体重はどうやって決まるのでしょう。
実は、人間の体重は遺伝因子によって1定のレベルに設定されているという仮説が、昔から提唱されてきました。
体内の体脂肪量は遺伝因子によって決められていて、人は生まれながらにどの程度の体重になるか決まっているというのです。
これを「セットポイント仮説」といいます。
この仮説を裏付ける遺伝子の存在が、1994年に明らかにされました。
この遺伝子が体脂肪の調節に関与していたのです。
人間の脳は、絶えず体内の代謝状態を調節しています。
体脂肪に関しても例外ではありません。
食事を摂り過ぎると、消費し切れなかった過剰なエネルギーは脂肪球という形になり、脂肪細胞の中でも主に白色脂肪細胞(単に脂肪細胞という場合、この白色脂肪細胞のことを意味しています)に取り込まれます。
やがて蓄えられた脂肪の量が増えると、先ほどの遺伝子が白色脂肪細胞でレプチンというホルモンをたくさん作り出します。
レプチンは脳の満腹中枢を刺激して食欲を低下させるのです。
また交感神経を介して消費エネルギーを増やす働きもあります。
つまりセットポイントを超えると、レプチンが分泌され、摂取するエネルギーを抑え、消費するエネルギーを増やして体脂肪量を1定に保つ、というわけです(ちなみにレプチンとは、ギリシヤ語で痩せを意味するレプトスという言葉から名付けられたそうです)。
太りやすいネズミと太りにくいネズミを比較してみると、太りにくいネズミではレプチンの分泌が盛んで、太りやすいネズミでは正常な構造のレプチンが分泌されていない、ということもわかりました。
しかし、さらに研究を進めていくと、太っている人では、むしろこのレプチンがたくさん分泌されていることがわかりました。
すなわち、レプチンがたくさん分泌されているにもかかわらず、その作用が十分に発揮されていないわけで、この状態を「レプチン抵抗性」とよびます。
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